【知識ブログ】香港の銀行口座開設~2017年1月現在

週末から香港に出張できており昨日はプライベートバンカーと食事をしました。

 

以前、香港の銀行口座開設が非常に人気がありました。いわゆるオフショアと言われる地域で守秘性に優れており、日本からも5時間のフライトということで、直接行くにこともそれほど苦にならないということで、ツアーを組んで口座開設という企画もたくさんありました。しかしながら、最近の状況を聞いてみると様変わりという感じです。もちろんシンガポールにいても香港から資金・資産が逃げ出しているという状況はお客様の行動や外国人から聞く話で理解していますが想像を越える感じです。

 

そのプライベートバンク 香港支店の2016年の収益は2015年比80%ダウンだそうです。理由はオペレーションコストが上昇しているのが第一だそうです。これは、金融の規制が厳しくなり、例えば口座を開設するにしても条件が厳しくそれをクリアして口座開設する手間暇が大変であるということと口座開設後その口座を管理する上で様々な規制があり、それを整えるのに相当なコストがかかっているということです。そんなことばかりに時間と費用がかかりビジネスにならないと嘆いてました。しかし、香港も主要ビジネスである金融がダメになってしまったら、この地域としても経済にマイナスとなってしまうはずなのにどうしてそんな規制をかけるのか?

 

中国の本土の影響だそうです。中国としては中国の金融の中心は上海であるべきということだそうです。中国本土からのプレッシャーで金融を含め様々な香港のビジネスが中国本土に移っている、移らされているということです。製造業のビジネスでは、香港のすぐ近くに深圳があり,この地域の工業地帯は行ってみたらびっくりする大きさだと言っていました。いくら香港で製造業を頑張っても労働コストやインフラを考えると行かざるをえないという状況なのでしょう。

 

個人として有名なところでは、世界有数の富豪である李嘉誠(リー カシン)が会社の中枢部分をケイマン島に移したという話がります。香港のお金持ちはどんどんと世界に出て行っているようです。香港では1996年までに生まれた人は同時にイギリスのパスポートを持つことができたということがあってイギリスへの出国、さらにはカナダ、アメリカが多いということです。特にカナダはそれほど大きくない金額の不動産を持てば居住ビザが取れるということで多くの香港人が行っているということです。バンクーバーには強烈に大きい香港人街があり「ホンクーバー」という言葉もあるそうです。

 

そうは言っても香港の一般の人はそう簡単に海外に出られるものではありません。相当に努力をして良い学校を卒業してもなかなか香港島の不動産を持つことはできない。(香港島の不動産はシンガポールの4倍と言われてます。香港島は香港の中心であり中国本土からの買いで不動産価格はどんどん上がっている。)ということで、九龍島に住むのですがこちらも決して不動産価格が安いわけではありません。一般の人の不満は相当なものになっているらしく、海外では報道されていないデモも頻発しているということです。

 

香港に来ると以前のようにブランドショップが立ち並び、人口密度が高く、それだけではこの変化は気がつかないかもしれませんが、根底から流れが変わってきてるように思います。