2019.01.14
ブログ🖋『投資を行う仲間たちへのレター』投資動向や海外ビジネス心得
millionadmin
【ブログ】金利を上げられないアメリカ
米連邦準備理事会(FRB)が利上げを一時停止する考えをアナウンスしました。
利上げ一時停止の意味すること
通常債券の利回りというのは長期になれば高くなるものですが、昨年12月から期間5年と2年でみた金利差がが逆転するという現象が起こっております。(それが通常に戻ったりを繰り返しております。)これがどういうことを意味するかというと、目先の景気は良いのですが3~5年先になると景気が悪くなり金利が下がるとマーケットが予想しているということです。現状アメリカの景気については非常に良い数字が出てきております。成長率は減速する予想ですがそれでも2%強の予想です。しかし一方では中国との貿易摩擦の影響が出始めており、アメリカ大企業の収益予想の下方修正がいくつか発表されております。こういったことが金利の現状に現れているのでしょう。
アメリカとしては金利を通常の状態に戻したい。ここ10年金融緩和をしている間に4兆ドル(440兆円)というお金を放出している。そして作られた低金利の状態が市場にとマッチしない歪みのようなものを作り出してしまっている。そういった歪みを解消したい。そして今度景気が悪くなった時に金利を下げるという手段が取れる余地がなければならないということです。しかし、この間放出した4兆ドルが財務の弱い企業に流れているということと、もう一つは新興国にドル建ての債務として流れているということが問題になるのです。新興国への債務は直近 10年で1.9倍になっているということです。
アメリカが金利を上げるとどうなるか?
ドル建てで借金をしている新興国は金利の支払いが多くなります。さらにはアメリカの金利上昇に伴ってドル高となるとドルベースの借金の額が増加するということになります。よって新興国が借金が返せないデフォルトの可能性が出てくるということです。アメリカが金利を上げるべき状態かどうか?アメリカの現状を表す数字上は上げるべきと言えるかもしれません。しかしアメリカ国内だけを見て他国の状況を無視するわけにはいきません。新興国の債務の状況がそれを許さないのです。アメリカの金利上昇は非常に難しい舵取りとなっていると言えます。
熊田昌彦/MAC
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