一週間ほど前にシンガポールでの2週間ホテル隔離を終了して、シンガポールのオフィスから通常通り仕事をしております。昨年11月末と比較して人通りも多くなっておりレストランも10:30PMまでオープンしていますので、生活の面では普通に生活出来ております。ひとつだけ面倒だなと思うことは、どこのビルに行くにしても携帯で QR コードの読み込みをして自分の存在場所・時間を登録しなければなりません。それもビルに入る時にその作業を行い、入った後個別のショップに入る時にもそれを行わなければならず、かなり面倒だなと感じています。しかし以前はプールサイドに行くのにもマスクをしなければならず大きな違和感がありましたが、今はプールではマスクをしなくても OK になりストレス発散に最高です。
完全に以前のように戻ったとは言えませんが、マーケットの方は2021年に入り潮目がはっきりと変わったと思っています。まず経済状況を見るとコロナで一時落ち込んでいましたけれども、国によっては予想ほど落ち込まなかった、もしくは落ち込んだ期間が予想より短かったということがあります。それよりも経済対策の効果や現在の環境自体が企業業績を押し上げているという経済データが見られるようになってきています。また人のマインドの中でそういった雰囲気も出てきているのではないかと思います。ということでマーケットはコロナ後を見据えて新たな展開を見せています。さらには各国の経済対策による偏った経済面での効果が現れ歪みとして出てきているとも言えます。
現在コロナ対策により各国で金融緩和が行われ、世の中のお金がじゃぶじゃぶの状態になっています。また人の生活は巣ごもり状態になり家にいることが多くなっています。学生も家でオンラインで授業を受けることが多くなりアルバイトも減った状態になっています。そこに現金給付が行われ、ただ家にいるならこの機会に株式投資をしてみようという動きもあるようです。こういった動きが各国の株式マーケットの上昇要因となり、バブルではないかという状況になっている訳です。もちろん景気が良い訳ですから、それに伴って業績の良い会社も出てきます。こういった会社は正当に評価され株価が上昇していると言えます。しかしながら業績を伴わず買われている銘柄も散見されます。
数日前にはアメリカの長期金利が一時1.6%をつけました。私が2021年初めに色々なレポートを読んだ中で、2021年末までに1.3%ぐらいの上昇を予想するというものが多かったと思います。私自身もそういったレポートを読んで1.3%を基準に見ていました。そして1.5%に達すると株式マーケットに影響が出てくると考えていました。それが実際に1.6パーセントに達し、SP500の配当利回りを超える水準となり、先週末、世界の株式マーケットにおいて大幅な下落もしくは乱高下する動きが見られました。株式の配当利回りを超えるということは株式で配当を受け取るよりも金利で稼いだ方が良いという状態であるということです。そうなると株式を売って債券を買うという行動が出てくるわけです。個人投資家の場合そのぐらいでは大きな差がないと思われるかもしれませんが、機関投資家はそういった微妙なところをチェックして行動を起こします。結果として売りを 先行する、もしくはシステマティックに売りが出るということになります。
株式市場においてこういったことは特別なことではないのですが、この動きが日本の金融市場に影響を与えることを恐れています。なぜかと言うと日本のマーケットは現在人為的に作られたマーケットであると考えているからです。それは日銀の黒田総裁が決定し行った異次元の金融緩和政策以後、日銀が現在発行されている国債の約半分を保有するようになり、そして日本の株式マーケットにおいて最大の買い手は日銀であると言われています。日銀が買うから国債の価格が保たれ金利は低く抑えられている。株式も高値を維持していると言えます。しかし日銀の国債や株式を買う力というのはほぼ限界に来ております。そういった中で、もし日本の株式市場が下落する動きが発生した場合、日銀は評価損を被るということになります。それを見越した売りが発生する可能性もあります。日本の国債もしくは株式マーケットにおいて、マーケットの状況を分析し売りに入ってくる投資家が出てきてもおかしくありません。その場合現在の日銀には買い支える力はなく、さらに売りがかさんできた場合マーケットは大きく下落する可能性があります。
こういったことから日本円からの逃避を考えるタイミングではないかと考えています。基本的には日本円以外の通貨で海外の銀行に資金を移すということが第一の策と思いますが、日本円での変動金利での借金は決してしない。さらにプロフェッショナルであれば、日本株式・国債を先物で売るというようなこともあります。
熊田昌彦/MAC
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