米国ベンチャーの情報提供:積極性と緻密さで経営の「見える化」
ここ数年、年に1社ペースでベンチャー企業に投資をしておりますが、アメリカベンチャー企業の情報提供の積極性と緻密さに驚いています。ほぼ週一回、電話とメールを使って技術の開発状況、ビジネスの進捗状況、ファイナンスの状況について報告があります。同期ミーティングをZoomで行う場合もあり、シンガポールにいると朝の6時からという場合が多く自分としては結構大変なのですが、企業側が情報の公開に積極的なのに投資家がそれを軽く扱ってはいけないと思い、休まず出席しています。毎週大きな変化があるわけではありませんが、それが一月に一回ぐらいになると必ず重大な変化、決定があるというのがベンチャー企業のスピード感のようです。問題が発生している場合も報告されます。私はボードメンバーではないので経営の決定に口出しすることはできませんが、どのような動きになっているのかイメージできるということと、数字もかなり細かいところまで報告されるので、その企業の経営が「見える化」されているように感じます。
日本ベンチャーの情報提供:情報求めても出てこない場合も
それに対して日本企業はというと資本金をもらったものだと勘違いしているんじゃないかと思うような時があります。資金を調達する時は熱心に語り時間もとりますが、その後は情報を求めなければほぼ情報はありません。求めてもなかなか出てこない場合もある。都合の悪いことは報告されない。未上場企業の場合、情報公開が規定・義務化されたものが非常に少ないというのが理由の一つなのかもしれませんが、そういった規定が少ない分、より一層株主に対する状況報告の仕方がその企業ごとに考えられるべきと思います。
会社は誰のもの?
アメリカの企業と日本の企業とどうしてここまで違うのか?もちろんすべてのアメリカの企業がすべて積極的で、日本の企業がすべて消極的とは言えませんが、会社は誰のものかという根本的な考え方に違いがあるような気がします。日本で会社は誰のものかという議論があると、株主のもの、社長のもの、社員のもの、さらにはお客様のもの、社会のものといった考え方まで出てきます。しかし、アメリカで会社は誰のものかという議論をした場合、「会社は株主のもの。」それだけです。よって、他人の資本が少しでも入ったらそれはオーナー社長一人の会社ではないのです。役員は株主のために仕事をしなければなりません。それができなければ役員を受けてはいけないのです。
世界経済を米国がリードする理由
現在、世界経済、特に株式市場においてはアメリカがリードする様相となっているということに異論は無いのではないかと思います。この理由の一つが「会社は株主のものである」という考え方が、株主からの積極的な投資を呼び込み、その積み重ねと歴史によって現在のアメリカ株式市場が作られているのではないかと思います。
熊田昌彦/MAC
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